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■木の用語解説:樹木 » 木材 » 木工関連

 ここでは樹木、木材、木工用語などについて、その意味合いに深く関連して理解できるよう、独自性のある整理記載をして解説をしています。各木材種については取扱木材の頁、接ぎ手についての用語は木材の接合の頁、木の塗装などに関することは塗装塗料の頁もご参照ください。 

<主な項目・用語>
樹木 / 木本類 / 草本類 / 木化(木質化) / セルロース / リグニン / 針葉樹 / 葉面積指数 / 林冠 / 樹冠(層) / 広葉樹 / 裸子植物 / 被子植物 / 散孔材 / 環孔材 / 放射孔材 / 半散孔材 / 雑孔材 / 無孔材 / 年輪 / 成長輪 / 春材(早材) / 秋材(晩材、夏材) / 年輪界 / 木理(木目) / 杢 / 本柾目 / 板目 / 追柾目 / 通直木理 / 交走木理 / 樹心(髄) / 芯持材 / 芯去り材 / 四方板目 / 干割れ / 背割り / 心材(赤身、赤味) / 辺材(白太) / 木表 / 木裏 / 木口 / 木端 / 含水率 / 全乾重量 / 繊維飽和点 / 自由水 / 結合水 / 気乾材 / 気乾含水率 / 平衡含水率 / 平均平衡含水率 / 標準含水率 / 気乾比重 / 全乾比重 / 真比重 / 異方性 / 収縮異方性 / 気乾収縮率 / 全収縮率 / 平均収縮率 / 強度異方性 / 天乾 / 人乾 / KD材 / AD材 / グリーン材 / 真壁 / 大壁 / 間伐材 / 人工林 / 単層林 / 複層林 / 花粉症 / あて(材) / 圧縮あて / 引張あて / 木材腐朽菌 /白色腐朽菌 / 褐色腐朽菌 / 軟腐朽菌 / ヘミセルロース / 真菌 / 炭素固定 / 白蟻 /原虫 / 高等シロアリ / 埋め木 / 象嵌 / 埋木 / 浮造り / 吸い付き桟 / 寄木細工 / 曲木 / 可塑性 / 目切れ /


◆樹木(木本類)...........(特に草花(草本類)との区別)

 樹木は地上部分の幹が年を越えても枯れずに長年に渡り肥大して太く高く成長していく植物です。これは樹皮の内側に形成層と呼ばれる生きた細胞の集合部にある細胞が分裂増殖を続け、さらに大きくなるために必要な堅さを木化(木質化)することで保っているからです。一方、草花には形成層がなく木化もせず一定の時期を過ぎると太くはならず1年〜短年で地上部分は枯れてしまいます。 しかし、中には竹のように木とも草とも分類困難な植物も存在しています。竹は枯れずに冬を越し木のような堅さを持っていますが、中は空洞で形成層はなく一定期間を過ぎると太くは成長しません。幹あるいは茎にあたる部分は稈(かん)と呼ばれ、草類や樹木の両方の性質を持っていることから竹は竹とする考えも多いようです。(一応は木に分類されてる)
 草木の分類は植物分類学上の根底になっておらず、国によっても草木の分類に違いがみられ、生育の条件によっても草や木の性質へと変化する植物(ナス科、キク科、マメ科)も存在していますので一般的な特徴区別として下表に列記いたしました。また草木の分類は果物と野菜の区別にも大きく影響していますので付記しています。

木本類 草本類
幹が長年枯れない
木化により幹は堅く支持されている
年輪を形成する
形成層がある
一年〜短年で枯れる
木化せず茎は柔らかい
年輪はない
形成層がない
稈が長年枯れない
木化により幹は堅く支持されている
年輪はない
形成層がない

広義的くだもの類
果物(fruit) 野菜(vesitable):西瓜、メロン 苺:雑類、果実的野菜
木本類になる実
永年〜多年生作物(何年〜何十年も収穫できる)
畑で栽培しない
草本類になる実
一年〜二年生作物
畑で栽培する
バラ科の多年生作物
野菜的栽培

◆木化(もくか) 木質化(もくしつか)

 人などの動物の細胞は細胞質から繊維、軟骨、骨などの半流動性〜固形化した物質(基質)を発達させ、これら基質に富む結合織、骨・軟骨組織などが生体を支持する役割を担っておりこれらを支持組織と呼びます。樹木では植物細胞に特有である細胞壁を厚く発達させ細胞死の後も生体を強固に支持し続けることで永く成長し生き続けることを可能にしています。化学的には細胞壁の肥厚は*セルロース、**リグニンという物質の増加が関与していますが、このような現象を木化または木質化といいます。また、さらに環状に拡大発達した細胞壁が木の伸長方向に円筒状に連なった道管として発達し水分や栄養分を運ぶ経路を造っていきます。まさに動物の支持組織の中を走る脈管(血管、リンパ管)や神経のように全身に張り巡らせ栄養分を輸送する通路として発達させていくわけです。このことからも木はある一定の進化(自然淘汰)を遂げた植物で、さらに導管の発達した広葉樹は針葉樹よりも進化の進んだ生物とみることができます。

*セルロースは植物細胞の細胞壁の主成分でミクロフィブリル(微小繊維)を形成している直鎖状の高分子炭素化合物。 紙の原料である木質繊維の基であって、植物の骨格となっている成分でビルの鉄筋や人の骨の役割に例えられる。 地球上の有機炭素の約半分を占めるとされ、アルカリで抽出されるヘミセルロースや酸性で抽出されるペクチンなどの基質に囲まれて存在している。白蟻やヤギと違い、人間は分解酵素を持たない(分解できる菌を持たない)ので栄養源にできない成分です。
**リグニンは骨格であるセルロースのミクロフィブリルに付着して補強している複雑な3次元の網目状構造を示す高分子炭素化合物で、 細胞壁間を埋めるコンクリートや骨に付いてる筋肉の役割などに例えられ、木化に欠かせない成分で木化のことをリグニン化とも言われ場合があります。直接分解して栄養源にできる生物は白色腐朽菌のみとされています。
(セルロース、リグニン、ヘミセルロースは樹木の3大主要化学成分で樹幹の大半を占めています。セルロース、リグニンについては「あて材」、ヘミセルロースについては「腐朽菌」の項目もご参照ください。)

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◆針葉樹

 裸子植物の*ほとんどの樹木で針形や細長の幅の狭い葉を持っている木の総称です。△形の樹形や葉形から高緯度域での日照と風や積雪に対しても有利で北方域に自生するものが多く、周囲土壌へ日光の照射が可能なため下草を養分とし葉を落とさず越冬する常緑樹が多い。一般に広葉樹に比べ成長が早く高木です。広葉樹より種類は少ないが量的には多く、針葉樹林を形成するのも特色です。針葉樹林での**林冠(樹冠層)が深く(低く)、葉面積指数(葉面積合計/単位土地面積当たり)は高いという特徴もあります。水分の運搬は広葉樹にみられる導管よりも細く未発達な仮導管により行われています。木材としては広葉樹に比べて一般に軽軟で真っ直ぐで癖のよいものが多く加工性がよい。木繊維は緻密で長くパルプ材の他、建築構造材、建具材に多く利用されています。 針葉樹例:マツ、スギ、ヒノキ、ツガ、ヒバ、モミなど。

(*イチョウやソテツは裸子植物ですが葉が広く広葉樹、針葉樹の区別は通常されていません。木か草かの区別同様に針葉樹と広葉樹の区別もまた植物の分類学上の根底にあるものではありません。)
(**林冠とは、森林で枝葉が集中的に広がっているラインが層をなして見える位置で、太陽光線を良く受けて光合成が盛んに行われている部分です。個々の立木では樹冠といい、林冠は同種同高の樹木からなる森林では、樹冠の連なった樹冠層と同意義ですね。)

◆広葉樹

 被子植物の樹木で広く平たい大きな葉を持っています。ほとんどは双子葉植物ですが単子葉のものも少数存在しています。針葉樹に比べ背丈が低く枝葉を大きく張った一般に○形の樹形をとり低緯度地域の日光照射に向いた形とも考えられています。落葉性と常緑性のものがありますが大半は越冬に備えて落葉し枯葉を自らの養分として土壌に返しています。常緑性のものは温かい地方に成育しています。水分輸送は針葉樹にみられる仮導管よりも太く明瞭に発達した導管により行われています。木材としては針葉樹に比べて一般的に重くて堅いものが多く加工性はあまりよくありません。また木目の変化に富む美しい杢の出現があることも特徴で家具材などに利用されています。また道管の配列から環孔材、散孔材、放射孔材などの分類があります。広葉樹例:カシ、ケヤキ、サクラ、ブナ、カエデなど。

◆裸子植物 ◆被子植物(双子葉植物・単子葉植物)

 種子植物には裸子植物と被子植物があります。裸子植物は胚珠(受粉後種子へと発達する卵細胞が入ってる)がむき出し状態に露出しているもので、ソテツ類、イチョウ類、針葉樹の樹木が属しています。 果実は作りません。被子植物は心皮に包まれた子房の中に胚珠が保護されている植物で果実を作ります。また被子植物は双子葉植物・単子葉植物に分類され、双子葉植物は子葉が2枚で、ブナ、サクラ、マメ、ミカンなどが属し形成層がある植物です。 単子葉植物は子葉が1枚のもので、タケ、ヤシなどが属し形成層はありません。

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◆導管の大きさや配列による分類:〜 孔材

 木材を構成する導管の大きさや配列のパターンから型分けしたもので組織学的には形成層から分化した二次木部の管状要素を、一年輪に相当する秋材と春材の1セットの中での特徴として定義されているものです。導管を有する広葉樹に対して*散孔材、*環孔材、*放射孔材の三型が一般的ですが、他に散孔材と環孔材の中間的な性質を示す半散孔材、導管の配列に規則性がない雑孔材、導管の発達を欠く針葉樹に対して無孔材とした名もあります。特に散孔材と環孔材の間では水分輸送路の相違に関連して開葉時期の特徴や木目や木肌などにも一定の特色がみられます。

◆散孔材:英名はdiffuse-porous woodで、びまん性に小孔が沢山ある木という意になります。年間を通じて径のほぼ等しい導管が均一に分布したもので春材部と秋材部の区別や年輪界が不明瞭なため環孔材と比べると木目があまり鮮明ではありませんが木肌は緻密でソフトな質感を示すものが一般的です。散孔材樹種には常緑性と落葉性があり辺材部の幅が比較的狭いものから広いものまでがあります。辺材部の外側から数年輪が通水機能を持っているとされており開葉の時期は環孔材に比べ通常早い。 (クルミ、カエデ、サクラ など)

◆環孔材:春材部では大きな導管が環状に列んでいて秋材部では導管が急に小さくなり年輪界まで徐々に小さくなっている樹種です。散孔材と比べ木目は鮮明ですが一般に肌目が粗く比重が高いものが多いと思いますが桐のように軽いものも存在しています。水分輸送効率が高く辺材部の幅は狭くて最外年輪層だけが通水機能を有すとされています。ほとんどが落葉性で前年中に形成層細胞から分裂した導管の原基を準備し落葉して越冬し、開葉前には活発な増殖分化を始めており散孔材種に比べ一般に開葉の時期が遅いが迅速な成長を可能としています。環孔材種は散孔材種に大きな道管が加わった進化型とみなされています。(ミズナラ、ケヤキ、クリ など)

◆放射孔材: 春材から秋材にかけて次第に小型化している導管が樹心を中心に放射方向に一列縦隊状に列んでいるものです。重厚で肌目の粗い木材でカシの木が代表的です。(シラカシ、カキノキ、アカシデ など)

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◆年輪
 樹木の立ち木方向に対しての横断面にみられる同心円状の模様を成長輪といいます。気候の変化に伴う成長速度の違いから細胞の密度や形態的な相違が生じ、結果として色調や堅さが異なった輪状層となって表れるものです。通常、温帯から寒帯の樹木にみられ熱帯性の樹木は明瞭ではありませんが乾季と雨季により形成される場合もあります。日本などの温帯域では季節による寒暖の変化によって春〜夏期には旺盛に成長しますが夏〜秋期には極端に成長が遅く、一年を周期とした交互の成長輪が形成され数で樹齢を測り得ることから年輪と呼ばれます。日本のような気候下では夏をピークに成長し秋の終わり頃から冬の間は細胞の増殖を休止し成長していません。 年輪は斜面では山側より谷側の目が広いなどの立地による特色や樹木の種類による大方の特徴が定まっています。また、年輪はパターンの変化などから過去の気候変動などを推察する年輪気候学などにも重要な役割をはたしています。

◆春材(早材)
 年輪を形成する交互の輪状層構造の色調の淡い層の部分のこと。春から初夏にかけて成長する部分に相当し、春材(しゅんざい、はるざい)または早材(そうざい)と呼ばれます。秋材に比べて幅が広く淡明な色調を呈し、構成する組織は細胞壁の薄い大きな細胞から成り全体の細胞密度は低く木質繊維が少ないため材質は粗く柔らかい。

◆秋材(晩材、夏材)
 年輪を形成する交互の輪状層構造の色調の濃い層の部分のこと。夏から秋にかけて成長する部分に相当し、秋材(しゅうざい、あきざい)、晩材(ばんざい)または夏材(かざい、なつざい)などと呼ばれます。春材に比べ幅が狭く濃い色調を呈し、構成する組織は細胞壁の厚い比較的小さな細胞から成って全体の細胞密度は高く木質繊維が多いため材質も緻密で硬い。

◆年輪界
 秋材から次年の春材の境界部をいいます。木の成長の休止期間と増殖が再開された時期の移行部に相当し特に境界が明瞭である方の境目です。

◆木理(木目) ◆杢(目)

 木材の表面にみられる模様全般のことを木理(もくり)または木目といいます。年輪や木部繊維、道管、仮道管、放射組織などを形成する細胞の密度や配列などの全ての要素が絡み合って形成されるものです。専門的に狭義では単なる年輪模様を木目といい木理と使い分ける場面も見受けられますが年輪の形成には細胞組織の構成が直に関連していますから通常は同意語と捉えてよいと考えます。
 木理は年輪の要素から製材の方向により、丸太の樹芯から放射状に年輪に直交して縦挽きされ秋材と春材部がほぼ平行、交互に並んで出現する柾目(本柾目)、年輪に沿うように平行に接する方向で縦挽きされ秋材部が山形で全体としてタケノコ状や等高線様の模様となって表れる板目、また、本柾の製材向きから45°以内に傾斜した放射状方向に縦挽きされた柾目向きの方に近い柾目と板目の中間的なもので柾目の間隔が広く部分的に板目様の模様がみられる追柾目(おいまさめ)などの名称があります。一般に柾目材の方が板目材よりも狂いが生じにくく良質の構造材となりますが板目の方は幅の広い板材が取れやすく独特の木理の美しさから化粧的に利用される場合も多い。
 また、樹芯軸に対して構成する導管や繊維、細胞の方向から、軸に平行となっている通直木理、平行でない交走木理に分類され、交走木理はさらに、螺旋木理(旋回木理)、交錯木理、斜走木理、波状木理などに細分類された名称があります。一般に針葉樹では高く真っ直ぐに育つことから通直木理が多く、交走木理は特に広葉樹での出現が目立っています。瘤(こぶ)などにより複雑な交走木理となった材は特に美しい木理を呈するものがあり杢(杢目)として美術工芸的な付加価値が付けられています。杢目は特定の樹種にある一定の模様で出現する傾向がみられ、欅の玉杢、屋久杉の鶉杢、カエデ類の鳥眼杢、ブナ科の虎斑杢などは代表的なもので、このような木材が特に銘木と呼ばれています。

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◆樹心(髄)

 木の中心部の軟らかい部分。樹心を含む材を芯持材、含まないものを芯去り材といいます。中央に樹心がある芯持材の角柱は四面とも板目(四方板目)になります。丸太や角柱の芯持ち材は内外の収縮率の差から樹心を中心とした放射状のひび割れ(干割れといいます。)を防止するため、乾燥前に直径長の半分程度の深さまで割りが入っていて、これを背割りといいます。

◆心材(赤身、赤味) 

 木の樹心側の一般に色の濃い中心部を形成する部分から得られた木材。辺材部の心材化により形成されていく樹木を支持するいわゆる骨格となった部分です。褐色調を呈するものも多く板材では赤身という場合が多いですが、樹種よっては辺材との色調差が非常に少なく心辺材の区別が不明瞭なものも存在します。一般に広葉樹に心辺材の区別が不明瞭なものが多く存在しています。辺材に比べて含水率が低く緻密で堅い材で、樹脂分が多くてフェノール類などの殺菌効果を持つ成分も含んでいるため腐れや虫害にも強く高耐久性であることから、軸組建造物の土台木(桧の心材)をはじめとする構造用材や野外用途にも適しており、当方で製作する屋外用看板にも赤身を主とする板材として使用しています。一般に木材が樹種特有の色調などの性質を表現している部分でもあり、高級家具をはじめ美術工芸的用途での評価を有す部分で、通常は辺材に比べて価値の高い材となっています。

◆辺材(白太)

 樹皮の内側から心材の外側までを形成する淡色の部分から得られた木材。植物として養分の通道や代謝を行っている*生きた部分で(*分裂増殖をしているのは最外層にある上述の形成層という非薄な細胞層部分のみです。)、心材に比べて樹脂分は少なく水分や栄養分を多く含有しているため腐れやすく虫害にも弱い材です。強度的には心材に劣りませんが収縮率が高く、材質は粗く軽量で柔らかく、また、色調に乏しく節の出現率が高く艶も出難いなど、赤身より耐久性面も化粧的な側面からも一般に価値観が低く利用性に劣っています。でも中には純白をイメージする針葉樹材やメープル材などの高評価材も存在しています。辺材は心材に隣接する方から順次、生活機能を失って心材物質の出現蓄積により濃色化して心材へと変化していきます。このため、成長初期の段階にある幼木の時期には心材部の形成はなく辺材のみから成り立っており、樹齢の長い大木になるほど心材の占める割合が高く、中には辺材部がほとんどないような木もみられます。

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◆木表(きおもて) ◆木裏(きうら)

 木材の材面を樹木の解剖学的な方位から分類し樹皮側に近い面を木表、樹心側に近い面を木裏といいます。分類の性質上、中央に樹心を含む芯持材の四面や本柾の木目面では木表、木裏の区別は無いことになりますが、板目面など木取りによっては明確に区別できるものです。一般に木表の方が木裏よりも節が目立たず木目や木肌が美しく光沢もあり逆目も立ちにくいという特性があります。また、木表の方が含水率が高いので収縮が大きく乾燥により凹面となり逆に木裏側は凸面となるように反りを起こす方向が定まっているものです。通常、凹面となる方を反り向きとして表現することが多いので、木材は木表側に反るいう表現をする場合もあります。このように木は乾燥による収縮に伴う変化として反りや割れなどが出現しますので、木表木裏がない柾目材は木面の収縮率に差がでないことから狂いが生じ難い良材とされる理由の一つともなっています。また、樹木の生育上、ミクロの構造が全体に円錐形となっていることから、木表と木裏の区別は木材加工時の方向性にも重要な意味をもっており、鉋などの刃物を使った材面の切削では、木表は末(立木の上方向)から元(根本)の方向へ、木裏では元から末の方向へ切削し、節に対してはそれぞれ、その逆の方向へ切削することで逆目や節をおこさずにきれいな加工が可能となっています。前述のような特性から木表と木裏の区別は反り向きや見付(見える部位)を考慮した材の利用方向や加工の方向として、建築、家具、建具、掘り物、その他の木工芸など、分野を問わずたいへん意義深いものとなっています。

◆木口(こぐち)、木口面

 木材の繊維方向に対して直角にカットした切り口面。すなわち立木の横断面で年輪が輪状に見える面となります。木口面からは水分を吸収しやすく面も粗いので家具木工品では化粧的意味からも一般的に木口面がなるべくみえないように造られていますが木口面は接着剤による接着性は弱く面に直交した釘の保持力も弱いので接合には様々な接ぎ手(組手)法が有効な手段となっています。

木端(こば)、 木端面

 板材で言えば厚さとして見える木口面でない方の面で、木口面と直行する面の幅の狭い方に相当し、 木の繊維方向と平行する四面のうち幅長の短い方の二面とも言えます。

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◆含水率

 乾燥していない木材は、乾燥した時よりも、重くて腐敗し易い上、収縮による変形も起こし易く、強度の点でも劣っています。従って、十分に乾燥していない木材をそのまま使用するのは何かと問題が多く、含まれる水分の量を知ることは大変重要なことです。そこで、木材に含まれる水分の含有量を客観的相対的に知る得る方法として、木材に含まれる水分重量を、水分を除いた木材の重量(全乾重量または絶乾重量という)で割って、100を掛けたものを、木材の含水率(%)とし、林業、木材、木工業界では一般的に広く利用されています。式にすると
となります。この木材含水率は、全乾重量に対する水分重量を百分率で示した数値にほかなりません。従って注意して頂きたいのは、一般に化学などの分野で利用される物質の含有量は、全体の体積あるいは重量を100%として、それに含まれる物質量を百分率で表しますので、100%を越えることはありませんが、この木材含水率は100%を越える数値が存在します。現実、伐採直後の乾燥していない木材は生材と呼ばれ、生材の含水率は50〜200%と、100%を越えているものが多く存在しています。
 一方、木材を燃焼目的に利用する業界関連では、含有水分量に対する考え方が、とても厳密なものですから、湿量基準含水率(WB:ウェットベースの略)と称される、水分を含んだままの木材全体を100%として水分量を表示するものがあり、前述の木材含水率における数値は、乾量基準含水率(DB:ドライベースの略)として、それぞれを明確に区別しています。当然のことながら、湿量基準含水率の計算式では、上記の分母に水分量がプラスされますので、通常の木材含水率(=DB)と比較するとWBの含水率数値は低く表示されます。なお、全乾重量の算出には、特定の方法で木材を100〜105℃で乾燥し、水分が無くなって一定の重量になったときの重量としてJIS規格で定まっています。    

◆繊維飽和点 (自由水と結合水)

 木材に含まれる水分は木の組織間や細胞(壁)内腔の空隙に存在する水分と木の実質に染み込んだ水分に2大別され、前者を木の実質から遊離している水分という意味で自由水または遊離水といい、後者を結合水もしくは吸着水といいます。木材を乾燥していくと、通常、先に自由水がなくなり、追って結合水が乾燥していきます。木材中に、この自由水がなく、結合水のみがまんべんなく含み得る最大に含水している時点、もしくは、その時点の含水率を繊維飽和点といいます。木材収縮による変形が始まるのは、この繊維飽和点を越えて結合水がさらに乾燥して減っていくことによって起きる現象です。また、この繊維飽和点を境にして木材の性質に一定の異りを示します。繊維飽和点は樹種に限らず、木材含水率で28〜30%前後とされています。繊維飽和点はFiber Saturation Pointの訳でF.S.Pと略されています。

◆気乾材(きかんざい)

 木材を外気に一定期間放置すると、大気の湿度や温度と均衡して、ある一定の含水率に下がった状態を保つようになって、収縮や変形を生じ難い安定した状態となります。このようになった木材を気乾材といい、このような状態にすることを気乾するなどといいます。気乾状態にある木材の含水率を、気乾含水率もしくは平衡含水率といいます。本邦における外気での平衡含水率は、樹種間による差はほぼありませんが、季節や地域による違いがあり、11 〜17%程度の範囲内にあって、平均では15%程度とされています。これを日本における平均平衡含水率または標準含水率といい、収縮が落ち着いて安定した木材の含水率の指標となっています。ちなみに、欧米の外気での平均平衡含水率は12%程度され、各国々における気候や風土によって平均平衡含水率に明瞭な違いがみられます。 一概に良い悪いを述べることはできませんが、海外から輸入した家具などの木製品と、輸入木材を気乾後に使用して製作する国内産の木家具や木工品との、製造行程上の成り立ちにある、一つの大きな基本的相違点ではないでしょうか。

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◆気乾比重

 水の重量を1とした場合の気乾材の重量比です。同一樹種でも個々の育ちや部位によって異なりますが、樹種別に一定の数値が示されていますので、材種により、それは重たい木であるか、軽い木であるのかをなど判断する上でも有用な目安となっています。また、全乾状態の木材の重量比を示したものを全乾比重といい、各樹種の全乾比重を掲載したものが研究用などにネット上でも多数みられますので、純粋な樹種の比重を知ることも容易です。もちろん、全乾比重は気乾比重より若干低めの数値となっており、全木材は全乾比重0.1〜1.2 の範囲内とされています。木材を利用する我々の実用性を考えると、本邦における気乾材をベースにした気乾比重を知ることの方が、実際の重量感の把握などに適した指標であると考えます。また、木の実質部分だけに注目した比重を真比重といい、これでは樹種に限らず約1.5、すなわち、全ての木は水の1.5倍程度の重さとされています。樹種による差がないということから、木の実身である細胞組織の実質部分の重量は全樹種において大差はなく、木の重さは細胞や組織間隙などに存在する空隙の量次第であるということがわかります。空洞が多く内部がスカスカの木が軽く、密に詰まった木が重たいだけということです。真比重1.5は、木の実身自体は、海水よりも重く、内部に空気がない限り、どんな種類の木であっても海に浮かぶことはないということになりますね。
(国産材の気乾比重比較例:桐0.29<杉0.38<檜0.44<赤松0.52<栗0.62<桜0.67<赤樫0.97)

◆異方性

 木材は生物組織の残骸素材ですので金属や他の合成素材と比べ、構造に特異な方向性を持っています。 そのため物理的性質も方向によって顕著な異なりを示す性質があり、これを木材の異方性といいます(方向による性質差がないものは等方性)。 この異方性において木製品製造上、特に配慮を要する点は、 向きによる伸縮の程度の違い(収縮異方性)と向きによる強さの違い(強度異方性)でしょう。
 含水率変化に伴う木材伸縮の程度は、気乾収縮率(生材から含水15%までの収縮度合い)、全収縮率(生材から全乾までの収縮度合い)、および平均収縮率(含水15%を基準に1%の変化で起こる収縮度合い)の3つがJISの規格で定められていますが、木材全体に伸縮が生じる基本的機序は、繊維飽和点未満で起きる結合水量の変動に伴った、個々の細胞(壁)の体積の膨張収縮の集積よるものですので、一般に高比重の細胞密度が高い樹種程、その収縮率は大きくなっています。樹種による収縮率の程度差はあるものの、全般的に同様の異方性を呈していて、方向別に、接線方向:半径方向:繊維方向 10:5:0.5〜1 程度となっています。 接線方向とは丸太断面でいう円周方向を意味し、製材では円の直径(半径)のラインに垂直な方向に切り出された 板目材の幅方向に当たり、半径方向とは半径(直径)のラインと平行方向を意味し、柾目材の幅方向に相当、 繊維方向は立木の長軸方向で棒材などの長さ方向に当たります。これでいうと板目材の幅が最も変化が大きく、柾目材の幅はその半分程度で、 繊維長方向の変化は、ほとんどないということです。
 木材の強度に関しては、引張強度、圧縮強度、たわみ強度(曲げヤング係数)、破壊強度(曲げ強度)、せん断弾性強度などが樹種別に数値化されていますが、値が大きいほど丈夫であることを示していて、収縮異方性の変化率の少ない順に一致して、 繊維方向>半径方向>接線方向の順に強度が高い強度異方性を呈し、いづれも繊維と平行に力が加わる場合が最も強度があって、 このことが収縮異方性と合わせて、木製品を製造する上で、乾燥によるサイズ変化が少なく強度も高い繊維向きを考慮して材料を使うという 基本的概念を生み出しています。なお、木材の強度に関する特色として、乾燥するほど強度が高くなりますが、繊維飽和点に達すると 一定の強度を示すようになり、それ以下の含水率変化の中では安定した強度を示すことや、 圧縮強度が引張強度より高いコンクリートとは逆に、引張強度が圧縮強度より高いこと、 重量に対する強度(強度/重量=比強度)が高く、コンクリートや鉄を上回り軽くて丈夫であることなどがあげれます。

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◆天乾 と 人乾

 天乾は太陽と風という天然のエネルギーのみで、挽きたての木材を風通しよく桟積みし、自然に陰干したもので天然乾燥の略語。 人乾は、湿度、送風、温度等を機械制御した室内などで木材を人工的に乾燥させた人工乾燥の略語です。 近年、建築材用語として一般に知られつつあるKD材は、Kiln Dried woodの略で、乾燥機械を使って乾燥した意味で、人乾した木材に当たります。これに対してAir Dried woodの略でAD材という言葉が、天乾した木材を意味します。 また、KD材に相対させて、グリーン材(Green wood)という言葉が使用される傾向がありますが、これは葉っぱの緑のイメージを残している意味で、伐採して挽きたての未乾燥材として販売されるものを指しています。グリーン材を桟積みして天乾すればAD材となります。 木材の乾燥には熟知した経験や技術を要し、一口に人乾といっても、高温あるいは低温加熱乾燥、蒸気乾燥、他、多種があり、間で一旦、天乾状態にする行程をはさんだりと、その手法や方法論は様々なものが存在しますので、詳細は専門の事業所や書物でお調べ頂くとし、 天乾と人乾による一般的な木材の相違点を整理してみます。
 天乾は、乾燥期間が長く、乾燥は気乾状態までが限度で、表面割れなどの損傷が起こり易く、カビ、腐朽菌、虫害などに犯され易く、 寸法の安定性にも劣り、製品化に無駄が多いが、油分が多く、色や艶があり、香りも高く、粘り気もあって強度があり、 乾燥に特別な機器は要らず、電力エネルギーを使わないので、生産コストが低く、CO2もほとんど排出されない。
 逆に人乾は、工期が短く、気乾状態未満に含水率を下げられ、表面損傷は起こし難く、菌や虫害にも犯され難く、 寸法安定性にも優れ、製品化のロスが少ないが、油分が少なく、色艶がなく、表面がザラザラして、香りも低く、 粘り気がなく強度が劣る側面もあり、急激な乾燥で木繊維の劣化や 外部からは見えない内部割れが生じたり、致命的損傷をきたしてる可能性があり、 乾燥に特別な設備機器を要し、電力エネルギーを多く使い、生産コストが高く、CO2も沢山排出される。といった所でしょう。
 こうして新ためて相違点に着目すると、乾燥に要する期間や乾燥の程度では、圧倒的に人乾の方が優位にあって、 特に人乾ならではの特色として、気乾状態より含水率を低く調整できることは、利用条件下に合った含水率の木材を作れることです。 気乾状態未満となった含水率は多少外気にさらされ再び増しても、一旦乾燥した木材は簡単には湿気を吸い難い性質から、 天乾よりも常に2〜3%程度低い含水率にあると言われ、木は乾燥して狂い難くして使うが良いという観点からみると、人乾の方が優れていますね。
 しかし一方で、見た目や香り、粘り気のある強度、変化も味といったような、本来、木独特の特色は減退し、環境汚染に関する面では、 圧倒的に天乾に劣っています。 しかしながら、環境汚染が問題視される現代にあっても、機械器具の発達や住宅事情の変化の中にあって、 確実に人乾材の使用推進へ向っているのが現状です。 
 そう遠くない私の知る昔、今で言うグリーン材を乾燥して使用するのが当たり前であった、それが普通の木材で、 日本の家は、まだまだ木造軸組工法の畳の和室で、室内は柱の見える真壁という造りでした。 柱には節や縦割れがあって、経年により焼けや汚れで濃い色を呈し、窓や窓枠までもが木製でした。 近年、木造そのものも減っていますが、木造の和室であっても、柱の上に下地を打ってクロス紙などを貼った大壁という構造が主体になっていて、柱は見えません。 当然、柱を塞ぐ大壁造りには、木の見た目も香りも必要はなく、強度は壁そのものに依存する傾向が強いので、 より乾燥して伸縮変化のないクロス貼に適した構造材が都合良く、木の特性を熟知した特殊な技術もさほど必要なくなって、 見た目斑のない施行性の良さから工期が短縮し、クレームも少ないことで、製品差を嫌い見た目や気密性を重視する消費者にも歓迎され、総じてコストが下がり、 さらに木材乾燥期間の短縮した人乾材を使って量産し、建築大手は利益を上げ発展します。大手企業利益が上がれば、GDPが増大し経済が発展したと解釈し、豊かな国になってるという考え方の観点からは、やはり人乾は優れものでしょう。
 現在、木製品は徐々に合成樹脂などの異素材製品に置き換えられていく中、木で物を造るという価値観の中に、 限りなく育て得る永遠に利用可能な生物遺産であって、切削中心の加工からは製造上のエネルギー消費が低く、 廃物処理となっても、本来は、燃焼せずとも短期間で土に戻せ、公害性が少ないといった側面が含まれていますので、 環境破壊への影響が大きい乾燥方法を推奨する気にはなれないものです。 人乾は木の持つ良い特色は活かすことよりも、やっかいな部分を殺すことに重点を置いているように感じます。  どの観点からみるかで優劣は異なりますが、どの観点を優先するかは人が決めるものです。 もしも、木の持つ特色を活かさない利用が主となれば、科学の進む中、いづれは 木材の代用品が登場し、木はいらなくなるかもしれません。それで伐採が止まり、 樹木の多い自然豊かな環境に戻ればいうこともありませんが、残念ながら、自由競争社会の中では事業利益として木を育てる価値観は衰退し、 樹木豊かな山々には巨大なコンクリートの建物で占められていくかもしれません。  木は動物生命維持の根源たる地球の酸素を担っています。育てると使うを、上手く循環していく仕組みを作らねばいけませんし、 そうすることで木材は、環境破壊の少ない永遠に再生利用可能な唯一の資源となる得るかもしれません。 製造製品は需要と供給の関係で成り立っています。製造側も消費者も、木材を利用する限りは、その特性を受け入れる覚悟が必要なように思えます。 無論、製造者は伸縮変形する木材の特色を理解した使い方を熟知していなければなりませんね。

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◆間伐材(かんばつざい)

 樹木の生殖から育成まで、人がほとんど関与しないで自然に存在している森林を原生林といい、内、全く立ち入られてないか、それに同等の状態の森林を原始林といい、高樹齢の樹木の多い原始的な森林が想定されますが、あまり明確に定義されてはいないようです。 また、人が生殖には関与しないが育成に関与している森林を天然林といい、生殖から育成まで関与している森林を人工林といいます。
 日本における人工林は、江戸時代には既に始まっていて戦後急速に拡大していき、現在では全森林の40%程度を占めるに至っており、防風防砂を目的とするものもありますが、材木としての供給目的が中心で、杉をはじめ、桧、松、ヒバなどの針葉樹の植林によって造られています。 植林は、木を真っ直ぐに育て、他樹種の自然生育や下草生育の防止のため、一坪一本単位程に密植されますが、一定の生育段階で、立木個々の葉面積拡大による光合成の促進や、根張りを良くし土壌からの栄養吸収の促進、良質木材の選別淘汰などの目的もあって、立木そのものを間引いていく伐採が必要です。 この伐採を間伐といい、間伐の木材を間伐材といいます。間伐などの森林整備が適切にされないと、木の発育は悪く森林は暗く死に絶えていき、 樹木の根張りの悪さから豪雨での土砂災害に繋がって、現実に大きな社会問題となっています。
 また、原生林や天然林は多彩な樹齢の多樹種で構成されているのに対し、 人工林は、効率上の観点から、ほとんどが一樹種の苗が一斉に植林(一斉林)されていて、 同一年齢単一樹種が整列する樹冠層(林冠)が一層の単層林を形成しています。これが同一時期の大量花粉の一斉飛散となって花粉症の大きな要因となっています。 花粉症の一対策として、最近、植栽時期を変えた植林などにより樹齢の異った樹木を育成し、林冠が複数の複層林となるように計画された植林も行われるようになっていて、同時期の大量花粉飛散を軽減しようとしています。
 なお、間伐材に対して成長を待って成熟材として伐採される木材を主伐材といい、間伐材は主伐材と比べると、細くて利用範囲が狭いため取引価格も安く、 間伐材で得られる収益が森林整備事業資金となるよう、その効果的な活用が検討されていますが、森林の循環サイクルの維持は困難な状況となっているのが現状です。

◆あて(材)

 「あて材」は、International Association of Wood Anatomistsで「 幹や枝が正しい位置を乱された場合、 元来の正しい位置に保持しようと、傾斜や湾曲をした幹や枝の部分に生じた多少とも特異な解剖学的性質を示す木部」 のような意で定義されているようです。この学術分野でいう解剖学的性質という言葉は、 広義に使われていて、木は動物のように発達した器官や臓器を有していませんので、組織細胞学的変化と解釈して差し支えないと考えます。 また、正しい位置というのは、樹幹軸が天空に向かう重力に平行する向きにあること、枝においては、本来あるべき一定角度と解釈されます。
 木材流通上の一般的な慣習としては、傾斜地に立地する場合や風雪などの環境圧を常に受けて傾斜している樹幹が、 本来の向きに戻ろうとして曲がった所の、傾斜の下側または上側(湾曲の外側または内側)で、 樹心が一方に偏って成長(偏心成長)して、いづれか側の年輪幅が広く肥大成長をしたような部分を、 「あて」または「あて材」と呼ばれています。 「あて(材)」は主に針葉樹にみられる傾斜の下側(湾曲部外側)の圧縮あて(材)と 、 広葉樹の多くにみられる、傾斜の上側(湾曲部内側)の引張あて(材)に分類されていて、 いずれも樹体を支持する木質化に必要なセルロースとリグニンの化学成分が通常部とはバランスの異なる増加集積が起きることにより成り、それぞれが異なった成分バランスを示しています。
 木を鉄筋コンクリ−ト構造に例えると、セルロースは鉄筋、リグニンはその間を埋めるコンクリートに相当し、 正常材部では、針葉樹広葉樹共、セルロースとリグニンが含まれる割合は一定していますが、 「圧縮あて」では、傾斜の下側部分にセルロースが少なくリグニンが増加した肥大成長を示していて、 コンクリートを下側に詰めて下方で樹体を支えている構図になっているのに対し、 「引張あて」では、傾斜の上側にリグニンが少なくセルロースが増加した成長を示していて、上側の鉄筋を強化して 上方から引っ張っている構図のようにみられています。
 「あて」の形成は、枝においても同様に考えられていますが、枝においては、 針葉樹も広葉樹も全て「圧縮あて」を示すことがわかってきており、針葉樹は幹枝共に全てが「圧縮あて」であるのに対し、 広葉樹では、枝は「圧縮あて」で、幹は「引張あて」が多いが「圧縮あて」の樹木も存在し、加えて、 偏心成長が明らかなものや、偏心成長がほとんどみられないものなど、樹種による違いも明らかになってきています。 リグニン主体の「圧縮あて」が基本であった針葉樹から、 より合成効率の良いセルロースによる「引張あて」を獲得した広葉樹へと、これも進化した広葉樹の多くが持つ 特性とも考えられていますが、未だに不明な点が多く残っているようです。
 かって、北半球で南斜面に植林された針葉樹の切株で、南面に相当する谷側の年輪幅が広いことから、 日当りの良い南側が成長が良いのだと考えられていましたが、今日では針葉樹の「圧縮あて」を見ている現象と解釈されています。 いづれにせよ、あて材部は化学成分の比率異常から、癖が悪く狂いを生じやすい木材として敬遠される部材で、 その加工には十分な注意が必要です。

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◆木材腐朽菌(もくざいふきゅうきん)

 木材腐朽菌は、木材に腐生して、木材の主成分である難解性のリグニン、セルロース、*ヘミセルロースなどを分解し、 木材の形状や強度などの崩壊や劣化を来すことのできる微生物で、白色調に木材を変色(白腐れ)させる白色腐朽菌、 褐色調に木材を変色(赤腐れ)させる褐色腐朽菌、および表面を軟化して黒焦調に変色させる軟腐朽菌に分類されています。 いずれも、一般細菌(バクテリア:真正細菌)や古細菌とは異る、担子菌類、子嚢菌類、不完全菌類などに属している 菌類という多種類の微生物の総称で、微生物学では真菌と呼ばれる、いわゆる茸やカビ、酵母などに相当します。
 全般に腐生するには、高温多湿で空気に接する環境(水分と一定範囲の温度と酸素)が必要ですが、 白色腐朽菌は、乾湿差や寒暖差の環境変化に強い担子菌類で広葉樹を好んで腐朽し、 主にリグニンを分解する選択的白色腐朽菌とセルロースとリグニンを分解する非選択的白色腐朽菌が知られています。 褐色腐朽菌は、特に多湿環境を好む担子菌類で針葉樹を好んで腐朽し、セルロースやヘミセルロースを分解しています。 軟腐朽菌は子嚢菌類や不完全菌類に属していて、白色腐朽菌や褐色腐朽菌が生息できない 高含水率の木材に腐生でき、**アルカリ域や高温の環境にも強く、主にヘミセルロースを分解しています。
 腐朽木材などにみる変色については、基本、色調はリグニンの有無に左右される傾向があって、 褐色腐朽菌による赤変、クラフト紙などの茶色、経年による紙の黄変などは、残留するリグニンの色調やリグニンの化学反応による発色に基づいており、 白色腐朽菌による白変は、リグニン分解後の残留成分(セルロース,ヘミセルロース)の色調と解釈されています。
 リグニンは木特有の成分ではなく、草類を含む植物全般に含まれている、成分中で最も難解な高分子炭化物ですが、 現在の所、自然界では一次に直接分解できる生命は白色腐朽菌のみと考えられています。 最終的には細菌により無機化されますが、自然環境下で木を土に戻すのに、白色腐朽菌は必要不可欠な存在なようです。 このように木材腐朽菌は、樹木や木材に リグニン、セルロース、ヘミセルロースとして***炭素固定された元素の循環サイクルにも貢献しているほか、 近年では、ダイオキシン(ポリ塩化ジベンゾパラダイオキシン)も分解することから、環境汚染対策にも有用な微生物として 注目されています。しかし一方では、震災後の倒壊家屋の検証から、白蟻を越える重大な被害をもたらしている可能性が指摘されており、 さらに腐朽菌によるセルロース等の分解生成物は、白蟻を誘引する作用もあると言われていて、 木材にとっては天敵であることも事実です。対策には、上述の腐朽菌が好む環境にしない事が前提ですが、 土に直接には接せないこと、木片などを近くに置かないこと、定期的に監視すること、耐久性の高い木材 (桧、ヒバ、ケヤキ、栗、ベイスギ、サワラなど)を利用すること、赤身を使用すること、 保護塗料 や防腐薬剤(クレオソートなど)を利用すること等もあげられます。

(*ヘミセルロース:セルロースに付属する基質でリグニンとセルロース間の接着剤様の役割もしています。木材中にはリグニンと同程度含まれている有機成分です。)
(**一般に真菌の至適PHは酸性域にあって、至適温度は低めで25〜30度程度です。逆にバクテリアは一般に至適PHがアルカリ域にあって、 至適温度は真菌より高く人間の体温程度です。)
(***炭素固定とは光合成などによって、植物などが大気中の二酸化炭素を取り込んで、 炭素をその体内に別の有機物として留めている状態、或はその機能を言います。 温暖化の要因とされる大気中のCO2削減に植物は重要な役割を果たしていますが、 木は燃やしても腐らせて分解しても、炭素が空気中の酸素と化合して結局CO2を大気に放出してしまいます。 木材として炭素固定したまま利用すればCO2を大気に放出しません。 地球上では人為的な核反応以外は全て化学反応なので、 質量保存の法則によって、元素を何処にどの状態で存在させるかが大気成分のコントロールとなりますが、そこには地球上の全生命とその営みを含む全ての現象が複雑に絡み合っています。)

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◆白蟻:シロアリ

 白蟻は熱帯、亜熱帯、温帯、亜寒帯の広範囲な地域に棲息し、木材を食い荒らし木造家屋などに重大な虫害を来す ゴキブリ目、シロアリ科の昆虫で、数千種が確認されています。 蟻といいますが、不完全変態(幼虫と成虫が類似の形態をとる変態)をし、生殖の有り方や形態の相違、社会性の仕組みの相違などがあって、 現在はハチ目である蟻の仲間には分類されていません。主に植物遺体から得られるセルロースを栄養源としますが、 多くの種はセルロース分解酵素(セルラーゼ)を欠き直接分解することができず、 消化管内などに共生している原生動物(原虫)の分解能力を借りて栄養としています。 種によっては消化管内の共生微生物を欠き、菌園という茸(担子菌)の栽培園を巣内に造って、担子菌などと共生関係を持って 棲息している高等シロアリもいるようです。本邦では、従来よりヤマトシロアリやイエシロアリがよく知られていましたが、 最近では元来生息していなかった外来種による被害も増えていて、特にアメリカカンザイシロアリの名が知られてきています。 アメリカカンザイの名はアメリカの乾材を意味していて、 僅かな水分で生育でき、被害は建物下部に留まらず、天井裏の梁や家具、建具までに及ぶ アメリカでは一般に恐れらている白蟻です。白蟻の詳細な生態や駆除に関しては専門家の知識が必要です。

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◆埋め木(埋木・うめき)(象嵌) と ◆埋木(うもれぎ

 埋め木(うめき)とは木材の割れや節穴の補修、接合部の補強や接合目的および装飾的な目的などで木材に挿入する木片、または挿入することを意味します。埋め木される本体と同一の木材(共木)や全く異なる木材などを埋め木として使用します。 特に装飾的に行うものは象嵌(=象眼:ぞうがん)ともいい、工芸技術の一つで色彩の異なる異質の材などを嵌め込んで模様や絵を描いたりします。象嵌という言葉の、象は、かたどる、嵌は、はめる、と言う意味で、木材を用いる事に限る言葉ではなく、木で行うこの細工は、特に木工象嵌あるいは木象嵌と呼ばれます。 埋木(うもれぎ)は(うめき)と全く異なった意味で、これは長く水地中に埋没していて炭化して独特の色調に変色した木材のことを言い工芸細工用などに利用される木材のことで土埋木ともいいます。近年では人工的に炭化状態にする技術もあるようです。

◆うづくり(浮造り)仕上げ

 木材の表面を竹材やその他の物でこすったりして春材の部分を掘り下げ、木目に凹凸を付けて年輪を浮かび上がらせた仕上げ方法です。一般的には桐や杉などの軟材の仕上げによく用いられ表面硬度を上げる効果があります。バレン加工とも言うようです。 昔は木造住宅の破風板などによく杉材がそのまま張られていて天然に(自然の劣化現象で)うづくり状になってるのを御存知の方も多いかと思います。春材の部分は秋材の部分(木目の部)より柔らかく劣化しやすいため起きる現象です。木里恋では装飾的目的も兼ねて行うことがあります。

◆吸い付きざん

 裏ざんともいい、板の反りやねじれを抑え補強的効果を持つ化粧面の裏に取り付ける桟のことをいいます。蟻形の溝に蟻形の桟を入れる場合は、蟻桟(ありざん)または蟻形吸い付きざんといい、無垢板の幅方向への伸縮を妨げないようになっています。

◆寄木細工(よせぎざいく)

 色調が異なる複数の樹種の木片を貼り合わせて、様々な柄や模様などを表した木工細工のことで、寄木した木材を直接加工して製品に形造った、無垢作りと、薄く削ったものを小箱などに貼って表面を仕上げた、貼りの寄木細工があり、それぞれを無垢寄木貼り寄木などとも呼ばれます。とくに複雑な幾何学模様を呈した独特の貼り寄木は、古くから伝わる鎌倉地方の伝統的工芸品に指定されていて、箱根細工・箱根寄木などの名で有名です。

◆曲木(まげき、曲げ木)

 木材を蒸気で蒸したりして(蒸煮)、水分と熱を与え強制的に曲げて固定放置し乾燥させると、曲がったままの状態を維持した木材に加工することができます。このように、木材の*可塑性を示す性質を利用して、人為的に曲線状に加工した木材、あるいはその技法を曲木といいます。曲木にはブナ科のブナや楢などの堅木の樹種がよく使われていて、その優美な曲線によるデザイン性の向上や、目切れのない木材強度から、椅子などによく使われています。

*可塑性(かそせい):物体に圧力を加えて変形したのち、その力を除いても変形状態を保つ性質。
**目切れ(めぎれ):木材の長軸方向に木の繊維が平行して走っていない状態をいいます。木を削って曲線状にした木材は、目切れを起こし強度が下がるのに対し、曲木は目切れしないので強度が維持されることも大きな特色です。




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